ATAカルネとは?その役割や加盟国など、わかりやすく解説します!
クラシックカーや高級車両等の国際輸送を手がける
COSDEL JAPANのAsamiです。
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以前の記事でもご紹介しましたが、
車や物品を海外に持ち込んだり、
あるいは海外から輸入する際には、
「カルネ」というものを使用することがあります。
前回の記事では、
その一つである「自動車カルネ」についてご紹介しました。
今回は、もう一方の「ATAカルネ」について、
詳しくご紹介していきたいと思います。
1、ATAカルネとは?
1.1 ATAカルネの役割その1〜通関手帳〜
ATAカルネとは、
ATA条約(物品の一時輸入のための通関手帳に関する条約)に基づき、
仕事に必要な道具、商品の見本、展示会への出品物などの物品を
外国へ一時的に持ち込む際、
「免税扱いで」一時輸入通関ができる通関手帳
です。
通常、日本から外国へ物品を持ち込む
(あるいは、外国から日本に物品を持ち込む)場合には、
持ち込んだ先の国でその物品にかかる税金を支払う必要があります。
一方で、
販売を目的とせずに、展示会等に持ち込んだものの税金は、
どうすればいいのか?
とお困りの方もいらっしゃるかと思います。
例えば、具体的には、
・仕事で使うカメラや電子機器等の機材
・商談相手に見せるサンプル
・販売は行わず、展示のためだけに持ち込まれた展示用の車や美術品
などのケースがあるかと思います。
こういったものにその都度、税金を支払っていたら大変ですよね。
そこで便利なのが、この「ATAカルネ」です。
このカルネを利用すれば、
・物品を持ち込んだ国での輸入税等が免税になります
・通関手続きの異なる、ATA条約加盟の数カ国でも使用できます
このように、非常に便利な通関書類なのです。
ただ、カルネは任意の書類です。
外国に一時輸出(あるいは、日本に一時輸入)する際、
必ず使用しなければならないものではありません。
従って、ご自身の目的や状況と照らし合わせてから
申請・取得されることをお勧め致します。
また、カルネにはもう一つの役割があります。
1.2 ATAカルネの役割その2〜支払保証書〜
ATAカルネのもう一つの役割、それは
支払保証書としての役割です。
ATAカルネを使えば、
外国への輸入税の支払いや
保証金の提供が不要となります。
先にもご説明した通り、
通常の輸入(永久輸入)の場合、
所定の輸入税を税関にて支払う必要があります。
一方、ATAカルネを使用しない一時持ち込みの場合には、
輸入税の代わりに、輸入税相当額の担保金を
預けるよう税関に指示されることがあります。
しかし、ATAカルネを使えば、
その必要がなくなるということです。
その理由をご説明します。
ATAカルネは、日本では
「一般社団法人 日本商事仲裁協会」(以下、協会)が
発給しています。
ATAカルネの発給を受ける場合は、
協会に申請し、取得します。
詳しい申請方法については、次回の記事で詳しく解説しますが、
申請の際、担保もしくは担保措置料を支払うことにより、
何かあった場合にも輸入税等を支払うということを
協会が外国税関に保証してくれているのです。
このように、ATAカルネが担保の役割を果たしているため、
外国税関で再度、担保を提供したり、
輸入税を支払う必要はないのです。
2、ATAカルネを利用できる国・地域は?
ATAカルネは世界中、
どこの国でも使えるものではありません。
2020年8月現在、下記の国・地域にて使用することができます。
- ヨーロッパ
アイスランド *アイルランド アルバニア アンドラ イギリス *イタリア ウクライナ*エストニア *オーストリア *オランダ 北マケドニア *キプロス *ギリシャ *クロアチア ジブラルタル スイス *スウェーデン *スペイン *スロバキア *スロベニア セルビア *チェコ *デンマーク *ドイツ ノルウェー *ハンガリー *フィンランド *フランス *ブルガリア ベラルーシ *ベルギー *ポーランド ボスニア・ヘルツェゴビナ
*ポルトガル *マルタ モルドバ モンテネグロ *ラトビア *リトアニア *ルーマニア *ルクセンブルグ ロシア
* EU 27ヶ国
- アジア
韓国 中国 日本 香港 インド インドネシア カザフスタン シンガポール スリランカ タイ パキスタン マカオ マレーシア モンゴル
- 中近東
アラブ首長国連邦 イスラエル イラン カタール トルコ バーレーン レバノン
- 北米
アメリカ カナダ
- 中南米
チリ ブラジル メキシコ
- 大洋州
オーストラリア ニュージーランド
- アフリカ
南アフリカ アルジェリア コートジボアール セネガル チュニジア マダガスカル モーリシャス モロッコ
※上記以外の国/地域でも、関係各国の関税領域扱いとして
ATAカルネを使用することができる国/地域があります。
詳細は、日本商事仲裁協会HPよりご確認ください。
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以上、今回はATAカルネについて、
ATAカルネとはどういったものか、
そして、使用できる国・地域についてを
ご紹介させて頂きました。
次回は、いよいよ実際の申請・通関方法について
ご紹介致します。
ATAカルネについては、必要書類等も多く、
利用してみたいけれど、なかなか難しいのではないかと
お考えの方も多いようです。
COSDEL JAPANでは、こういった煩雑な手続き全てに対応可能です。
大切なお車の輸送を必要とするお客様のために、
安全・安心・高品質なサービスを提供しております。
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